ご挨拶
はじめまして、おじさんと申します
50代サラリーマン、妻と子供二人の父です。
読んでいただき、ありがとうございます。
話題の本を、筆者なりに要約していきたいと思いますので、参考にしていただければ幸いです。
『22世紀の民主主義』の紹介
22世紀の民主主義 選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる (SB新書) [ 成田悠輔 ] 価格:990円 |
この記事では話題の著書「22世紀の民主主義」の要約と、この本に書かれている3つのポイントを、分かりやすくまとめていきます。
この本の著者は今話題の「成田悠輔」であります。東京大学卒業後、マサチューセッツ工科大学にてPh.D.取得。現在はイェール大学助教授である、とてつもない人であります。
この本は、本の題名通り「22世紀の民主主義」について何をすべきか、著者なりの見解を中心に書かれております。
3つの結論
まずはこの本の結論から話していこうと思います。
A.はじめに断言したいこと
B.要約
C.はじめに言い訳しておきたいこと
と、本題に入る前にこの本の3つのまとめがあります。
また、著者もこの本について
「この本の内容を再利用したい場合はジャンジャンやってしまってほしい。私に連絡する必要も名前も記す必要もない。切り抜くなりパクるなりリミックスするなり自由にしてほしい。自分のシマや功績が増えることより、世界や政治がちょっとでも変わることのほうが楽しいからだ」
と本書に書いてあります。
きっと、著者もこの考えをたくさんの人に知ってもらいたく、このようなこと記されたんだと思います。
ならばこの本の全文を書くことも可能なのでありましょうが、さすがにそれはできないので、皆さんに分かりやすいように要約してまいります。
まずは3つのまとめです。
1.はじめに断言したいこと
著者は「若者が選挙に行って「政治参加」したくらいでは何も変わらない。選挙や政治、そして民主主義というゲームのルール自体をどう考える」
ことだと言っております。
ルールを変えること、つまりちょっとした革命をするということであります。
2.要約
経済といえば「資本主義」、政治といえば「民主主義」であります。
二人三脚の片足・民主主義が今世紀に入ってからの20年強の経済を見ると、民主主義的な国ほど、経済成長が低迷し続けている。「民主主義の失われた20年」とでも呼ぶべき様相であるといっております。
では、重症の民主主義が再生するために何が必要なのでしょうか?
- 民主主義との闘争
- 民主主義からの逃走
- まだ見ぬ民主主義の構想
の3つであります。
闘争・逃走・構想により、民主主義は人間が手動で投票場に赴いて意識的に実行するものではなく、自動で無意識に実行されるものになっていきます。
人間は普段はラテでも飲みながらゲームしていればよく、アルゴリズムの価値判断や推薦・選択がマズいときに介入して拒否することが人間の主な役割になります。
人間政治家は徐々に滅び、市民の熱狂や怒りを受けとめるマスコットとしての政治家の役割はネコやゴキブリ、デジタル仮想人間に置き換えられていくでしょう。
3.はじめに言い訳しておきたいこと
この本の目的は単純明快であります。
選挙や民主主義をどうデザインすればいいか考え直し、色々な改造案を示すことに尽きるといっております。
ただ、政治にも、政治家にも、選挙にもまるで興味が持てない。どうでもいい…そう感じてしまうと、著者は言っている。
著者は、「この本の内容が私独自の新しい見解だと主張するつもりはまったくない」と言っております。
以上が最初の3つのまとめであります。
「独自性や新規性はほとんどどうでもよく、他人の考えも自分の発見も等しく部品として組み合わせ、未来に向けて走る自転車を作ってみたいという気分で書いてみた」というのが著者の意見であります。
続いてはこの本の要約ポイントの照会になります。
要約ポイント
故障
経済を突き動かすのは主義である。
経済といえば「資本主義」、政治といえば「民主主義」、二つを合わせて民主資本主義や市場民主主義と呼ぶことも多い。
暴れ馬・資本主義をなだめる民主主義という手綱、その躁鬱的拮抗が普通選挙普及以後のここ数十年の民主社会の様式図だと著者は言っている。
資本主義が加速する一方、民主主義が重症に見える。
躁鬱のバランスが崩れてただの躁になりかけており、民主主義的な国ほど、今世紀に入ってから経済成長が低迷し続けているとのことであります。
民主主義の失われた20年は、20世紀には見られなかった、21世紀特有の現象であるそうです。
例えば、民主主義的な国ほど命も金も失った。そして、コロナ禍初期における民主国家の失敗もまた、民主主義が原因で引き起こされたものだと示すことができる。このことは、コロナ禍初期によく議論された「人命か経済か」という二者択一(トレードオフ)の議論がおそらく的外れのことも意味する。
現実には人命も経済も救えた国と、人命も経済も殺してしまった国があるだけだったのだとゆうことです。
つまり現在は、「民主主義が意識を失っている間に、手綱を失った資本主義が加速している」状態であるとのことである。
闘争
重症の民主主義が今世紀を生き延びるために何が必要か?
民主主義との闘争、民主主義からの逃走、そして民主主義の構想であります。
政治家をいじる
政治家への長期成果報酬年金として、すぐに考えられるには政策成果指標に紐づけた政治家への再選保証や成果報酬を導入するのはどうか?
こうした成果報酬は業績に応じて乱高下するのが当たり前の企業の役員報酬やボーナスであります。
当たり前に行われている企業統治(コーポレートガバナンス)を国家戦略に持ち込み「ガバメント・ガバナンス(政府統治)」の試みといってもいいかもしれないとのことである。
メディアをいじる
「人がどんな情報をどのように得るか」「誰と誰がどのようにコミュニケーションをするか」にも制約を入れる可能性があるとのことです。
SNSなど公開ウェブでの同期コミュニケーションの速度、規模への制約であります。
将来的には、コミュニケーション・情報の内容に応じた課税も出てくるだろうということです。
来るべき21世紀のデジタル立憲運動の芽ばえであります。
選挙をいじる
選挙制度の再デザインの提案も数多い。政治家の任期や定年などが有効である。政治家の定年や年齢上限はいくつかの国では実現しております。
となると、有権者についても考えるのが自然だろう。ただし、「老人から選挙権を取り上げよう」と言えば無理があるでしょう。
なので、「老人から選挙権を取り上げよう」は無理でも、「現役世代の投票に有形無形の報酬を加えよう」なら実現可能化もしれません。
UI/UXをいじる
選挙を行うためのUI/UX(ユーザーインターフェースやユーザー体験)、たとえば投票に使われる用紙や装置の改良です。
投票装置の電子化のように、一見些細なUI/UX変更だけで、政治は変わりうる。
既存の選挙制度で勝つことで今の地位を築いた現職政治家がこのような改革を行う気分になるのか、無理そうな匂いがプンプンするそうです。
真に必要なのは、選挙の再発明ではない。むしろ「選挙で何かを決めなければならない」という固定観念を忘れることだ。
と著者は言っております。
逃走
民主主義の既得権者を打ち破ろうとするものは自ら既得権者に落ちぶれるしかなく、ミイラ取りがミイラになるのは避けられません。
となれば、いっそ闘争はあきらめて、民主主義から逃走してしまうのはどうでしょうか?
民主主義を内側から変えようとするのではなく、民主主義を見捨てて外部へと逃げだしてしまうのです。
独立国家を作るのだ!
- 独立国家のレシピ1:ゼロから作る
- 独立国家のレシピ2:すでにあるものを乗っ取る
または、すべてを資本主義にする、または〇□主義の規制緩和である。
フランス・アメリカ革命が民主主義革命、ロシア革命が共産・社会主義革命だったとすると、次に来るべきは資本主義革命かもしれません。
とは言え、逃走には落とし穴がある。たとえ新国家の乱立による民主主義からの逃走が可能だったとしても、文字通り問題から逃げているだけだという問題です。
そんな問題こそ私たちが真に考えるべき課題になります。
来るべき独立国家という箱の中身を詰める構想であります。
構想
選挙なしの民主主義に向けて
民主主義を瀕死に追いやった今日の世界環境を踏まえた民主主義の再発名であり、世界と民主主義を食い尽くすようになったアルゴリズム技術環境を逆手に取った選挙の更新である。
選挙なしの民主主義は可能だし、実は望ましいでしょう。
民主主義とはデータの変換である
民主主義とはつまるところ、みんなの民意を表す何らかのデータを入力し、何らかの社会的意思決定を出力する何らかのルール・装置であります。
- データとしての民意1:選挙の声を聞く
- データとしての民意2:会議室の声を聞く
- データとしての民意3:街角の声を聞く
平均化、アンサンブル化されるアルゴリズム群は無意識民主主義にデータ・アルゴリズムの多元性と競争性をもたらす。
アルゴリズムで民主主義を自動化する
人間が選択肢を意識的に咀嚼する必要がなくなり、ポスターのスペースやテレビの尺が重要な制約ではなくなる。
アルゴリズムは疲れを知らないので、無数の政策イシューや論点に同時並行に対処して意思決定していける。選択肢はいくら複雑でも多数でも何百万個並列してもいい。
民主主義の入力側からも出力側からも、人間の姿は消えていく。
不完全な萌芽
萌芽の限界:自動価値判断とアルゴリズム透明性
第一に、エビデンスに基づく価値判断が欠けている。
第二の限界は、意思決定アルゴリズムが非公開で不透明であることが多いことだ。
無意識民主主義は一つの答えを与えてくれる。
民意データを無意識に提供するマスの民意による意思決定、無意識民主主義アルゴリズムを設計する少数の専門家による意思決定、そして情報・データによる意思決定の融合が無意識民主主義である。
政治家不要論
無意識民主主義は生身の人間の政治家を不要にする構想でもある。
現代の民主主義で政治家が担っている役割は主に2つある
- 政策的な指針を決定し行政機構を使って実行する「調整者・実行者としての政治家」
- 政治・立法の顔になって熱狂や避難を引き受け世論のガス抜きをする「アイドル・マスコット・サンドバックとしての政治家」
である。
アルゴリズムの発達によりネコやゴキブリが政治家を代替えする存在になるかもしれない。
ネコが政治家になる世界は思ったより早く到来しそうだ。
このような話になると「ネコやアルゴリズムに責任が取れるのか」という議論になるが、そもそも人間の政治家は責任が取れているのだろうか?
民主主義の再生に向けた民主主義の沈没、それが無意識データ民主主義である。
まとめ
22世紀に向けて読むと社会の見え方が変わる本であります。
新構想として、選挙に頼らない民主主義を提案しております。
「言ってはいけないとされていることはだいたい正しい」と著者が言っているように、今の民主主義に対して真っ向から改革をするように提案しているように思えます。
この本は、若者から高齢者まで幅広い年齢層に読んでいただきたい本であります。
今では絶対無理だろうと思われることでも、近い将来実現するだろうと思われる本であります。
是非手に取って一度読んでみると良いと思います。
22世紀の民主主義 選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる (SB新書) [ 成田悠輔 ] 価格:990円 |
著者のプロフィール
2005年に東京大学入学。
2009年、東京大学経済学部を首席で卒業。
2011年に東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。東京大学大学院在学中にVCASI研究助手。ヂンチ株式会社代表、一橋大学特任准教授、スタンフォード大学客員助教授などを兼任。
2016年、マサチューセッツ工科大学(MIT)Ph.D.取得。
2017年にイェール大学経済学部アシスタント・プロフェッサー就任。独立行政法人経済産業研究所(RIETI)客員研究員。ZOZO、サイバーエージェントなどの組織と、共同研究や事業に携わる。
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